人々の行動をインセンティブ(動機づけ)を元に解析する、これこそが経済学。いまや(日本でも)類似の書物は多いですが、よい「問い」を立てること、ここがだいじ。本書では

・先生と力士のインチキ
・KKKと不動産屋の情報の非対称性
・ヤクの売人は底辺労働
・中絶と犯罪の関係
・子育てとは何か

「たぶんそうだろうな」とボンヤリ思っていたことを、データを上げて突き詰めていかれるとスッキリするもの。
(もちろんそれが「真実」かどうかはどこまでいってもペンディングなわけですが)

たとえば子育ての例ですと、カリフォルニア州にはある子どもがどんな家庭で生まれ育ちどんな人になったか、の膨大なデータがあるそうで、それを解析した結果導き出されたのは重要なのは、
「親が何をしたか」
ではなく
「親がどういう人か」
だそうです。
身も蓋もないですね。
(もちろんフォローとして、酷い親と酷い環境で育った不良黒人少年がハーヴァードの若手教授になり、素晴らしい親と環境で育った天才白人少年がユナボマーになった事実も挙げられているのですが)

世の中というのはわりと「身も蓋もないこと」ばかりでできており、しかしわりと、みんなそれを認めたくない。
なぜかはわかんないですけど、「無限の可能性」をいつまでも担保したいんですかね。
ここに、商売人や悪い人、利権を拡大したい人につけいられる隙がある。
で、そういう人たちはお金があるので、お金を使って、身も蓋もないことから人々を遠ざける、気づけ無いようにする。
もちろんこの本も違う何かから目を逸らせる目的で書かれた本かもしれません。たとえば……ほとんどの経済学者はわりと役に立たない、とか。

ともあれ、「通念」と聞けば疑ってかかりたくなる、のが科学者の資質、のはずですが、今の世の中そんな本質的なことを言ってるとポストと資金が得られないので、まああんまり人様には期待せず、自分で疑ってかかるとよいと思います。
めんどくさーいですけどね。

1点書物として文句をつけるなら編集が悪い。
同じ内容が何度も繰り返されたり、データの並べ方が過剰だったり足りなかったり。ライター(ダブナーさん)が批判されたそうですが、それは「中身が全部レヴィットの頭の中の話じゃないか」という意味じゃなくて、「おまえもうちょっとちゃんとまとめろよ」という意味だと思う。

でも、おもしろかったです。